レンタカー&鉄道で巡る 南仏・スペイン巡礼路・ポルトガルの旅 17日間

旅好き夫と怠け者妻の夫婦ふたり旅・・・ちょっと長かったけど、楽しかったです。

<第12日目: 8/8(火)> サンチャゴ・デ・コンポステーラ ~ ポルト 

いよいよ、スペイン最後の日となりました。

言葉が通じるのも、今日が最後です。

今回旅行に来る前は、スペインに対してそれほど特別な感情を抱いていなかったので、

もっとあっさりした気持ちで帰国するのだと思っていました。

けれど、久しぶりに訪れてみて、思ったより言葉が通じたことが要因か、

愛着や親近感が湧きました。

正確には湧いてきたというよりも、そういう感情を抱いていた17年前の気持ちを

思い出したというところでしょうか。

 

加えて、このサンチャゴ・デ・コンポステーラのパラドールでは、

良い出会いがふたつありました。

ひとつは、正面玄関入口に立つガードマンさん。

昨日、広場に入って車の駐車場が見つからずに困っていた時に、

私のつたないスペイン語を理解してくれて、

とてもフレンドリーに感じよく対応してくれました。

それ以降、外出するたびに陽気な笑顔で挨拶してくれて、

おかげでアウェー感を薄めることができました。

 

もうひとつは、今朝チェックアウト後に、

パラドール内のカフェバーで、お約束のモーニングカフェを楽しんでいる時のこと。

これから向かうポルトガルのガイドブックを広げて、旅程を相談していたら、

60代くらいの紳士が笑顔で近づいて来て、

「日本の方ですか?」と話しかけられました。

何でも彼は、JETRO(日本貿易復興機構)のマドリード事務所に

長く勤めていたそうで、日本も数回旅行で訪れたことがあるとのこと、

どうやら親しみをもって話しかけてくれたようでした。

彼とは英語で話したのですが、その後スペイン語しか話せない奥さんがいらしたので、

軽くスペイン語で挨拶をして、お別れしました。

こちらがツアーの団体客ではなかったので、話しやすかったのかもしれませんが、

何だか、地元スペイン人の方に親しみをもって話しかけられると、

とても歓迎されている気がして、うれしくなりました。

小さな出会いではありますが、とても心に残りました。

 

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ポルトガルの勉強をしていました

 

そして、いよいよポルトガルへ向けて出発です。

まずは、Hertzレンタカーの営業所を探して、車を返します。

そこから、バスターミナルへ移動。

ポルトガル第二の都市、ポルト(Porto)まで4時間の長距離バス移動になります。

 

Hertzレンタカーの営業所を見つけるのは、少し苦戦しました。

Google Mapに住所を入れると、確かに表示はされるのですが、

その該当の道に近づいても、店舗が見つかりません。

何度かそのあたりをウロウロした後、自力で探すのを諦めて、

ガソリンスタンドに入りました。

最後の給油をしながら、スタッフの人にHertzの営業所を知ってるかきくと、

何やらしきりに後ろの方を指さしています。

よく見ると、ガソリンスタンドの建物の横に

ひどく小さな看板があり、そこにHertzの文字が。

独立した普通の店舗を探していたのですが、

まさかこんな2帖ほどのスペースの店舗だったとは・・・。

 

返却(乗り捨て)の手続きをして、タクシーを呼んでもらいます。

ここからバスターミナルまで、5分ほどの距離です。

長く旅を共にしたシトロエン・・・。

ありがとう、シトロエン・・・。

 

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さようなら、シトロエン

 

お名残惜しく、別れを告げて、タクシーへ。

ほどなくしてバスターミナルに到着。

切符を購入するのに窓口に並びます。

ところが、ここで問題発生!

何とポルト行きのバス、12:00発に乗りたかったのに、満席。

その後の14:00発も満席で、空いていたのが17:30発のみ。

がっくりしました。

 

ALSA社の長距離バス、サンチャゴ・デ・コンポステーラ 17:30発だと、

ポルトは、20:45着(現地時間は、-1時間。所要時間は4時間)。

遅い・・・。

それでも当日の席があったことに感謝しなければなりません。

仕方ないので、荷物をロッカーに預け、

そこからまた、パラドールのある中央の広場に戻り、

最後の観光をすることにしました。

徒歩20分くらいで、広場まで行けるとのこと。

街歩きも観光の一環なので、よしとします。

 

結局、迷いながらも30分後くらいに到着。

それでもまだお昼過ぎです。

ウロウロしながら、広場近くの公園脇のレストランで、

軽く食事をすることにしました。

外の席が空いたので、慌ててゲット。

カフェとトルティージャ(スペイン風オムレツ)をいただきました。

 

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広場の公園

 

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のどかな光景

 

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素敵な店を発見

 

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スペイン最後のカフェを楽しむ

 

すると突然目の前の路上で、楽器を取り出した人たちが演奏を始めます。

これって・・・・チップを集めに来る感じ?

思った通り、終わったらチップを集めに回って来ました。

 

このシステム、本当に慣れません。

実は今回の旅で、何度かこういうことに遭遇しています。

例えば、初日のマルセイユ

テラス席でおいしくブイヤベースとムール貝をいただいていたのですが、

突然、音楽が聞こえてきました。

テラス席の外、道路沿いからの演奏で、少し距離があります。

あまり音楽も聞こえないし、適当に1曲だけなので関係ないと思っていたら、

こちらのテラス席まで来て、チップを集めに来ました。

すごく上手で何曲か演奏していくならともかく、

そんな適当な演奏でチップを集めに来るなんて、

観光客としては、ちょっと足元を見られている気がしました。

 

その後、アヴィニョンはもっと酷かったのです。

信号で一旦停止している車の前でこれ見よがしに、ジャグリングを始めました。

やたら短くて、2-3回ほど。

そしてすぐに集金に来ようとするのですが、車はすぐに出発。

・・・その内容で、こんなタイミングで、お金支払う人っているのだろうか。

 

そういえば、このサンチャゴ・デ・コンポステーラ

石畳の道端に膝立ちをしてじっとうなだれて施し(献金)を

待っている人たちもいました。

ここは巡礼の聖地であり、根強いカトリックの国、スペインなので、

こういう場合は、献金する人もそこそこいるのかもしれないと思いました。

いずれにしても、日本人には馴染みがないシステムなので、

無理やり集金に来られてしまうと、引いてしまうのです。

 

逆に、こちらから是非、支払いたいと思った人もいました。

広場のところで、全身に金箔をまぶして銅像のようにじっと立っている人。

半分腰かけたような状態(仕掛けのある杖を使っている模様)で

炎天下の中、微動だにしないので、金の銅像だと思って通り過ぎる人もいました。

けれどそれが、人間であることに気が付いて、笑顔になる人、遠巻きに写真を撮る人。

そこそこの人数の人たちが、お金を置いていきました。

こういう技術的にも肉体的にもすごい芸を見せられれば、

黙っていても自然にお金が集まるのに・・・。

そのプロフェッショナルな仕事に、脱帽しました。

 

その後、ブラブラ最後の街歩きをしました。

もう特にここへ行っておきたい!というところもないので、

のんびりお土産屋さんを覗いて、旅の記念品を探すことにしました。

 

妻は、海外へ行った時、毎回必ず購入するものがあります。

それは、お土産用のマグネット。

その国や街の観光名所、特産物などをモチーフにした小さいマグネットです。

それを自宅の冷蔵庫に並べて付けているのですが、もう随分な数になりました。

毎日冷蔵庫を開けようとするたびに、自然と目に入るマグネットたち。

いろいろな国でのいろいろな出来事が思い出されます。

 

フランスでは、「La Provance 」と書いてある

白い家とピンクの花がモチーフのマグネットを買いました。

スペインでは何がいいのか迷ったのですが、やはりせっかく巡礼路に来たので、

カミーノさん関連Goodsにしたいと思い、「Camino de Santiago」と書かれた

黄色いホタテ貝と矢印をモチーフにしたマグネットを選びました。

これを見るたび、きっとカミーノさんたちのことを思い出すに違いありません。

 

夫は、T-シャツを物色していました。

購入したのは、やはりカミーノさん関連の模様のT-シャツ。

それと、シルバー色のホタテ貝がついたキーホルダーも買いました。

良い記念品が買えて大満足です。

 

そうこうしているうちに、16:30。

ゆっくり歩いて、余裕を持ってバスに搭乗したいので、

そろそろ中心部を出て、バスターミナルへ向かいます。

 

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広場の市役所前にて さようなら、スペイン!

 

地図を片手に来た道を戻りましたが、今度はバスターミナルまで簡単に戻れました。

ロッカーに預けた荷物をピックアップし、飲み物を購入して、

無事にバスに乗り込みます。

17:30出発、ここから約4時間。 

長旅になります。

 

妻は車酔いが激しいので、実は今回、長距離バスでの移動がとても心配でした。

移動にあたっては、もうひとつ方法があって、

サンチャゴ・デ・コンポステーラから電車で、国境の街ヴィーゴ(Vigo)へ行き、

そこから電車を乗り換えて国境を越え、ポルトに到着」という電車移動のコース。

少し迷いましたが、こちらの電車のコースは乗り継ぎを考えると、

早朝6時過ぎの電車に乗らなければいけないとのこと、

せっかくパラドールに泊まっているのに、それは勿体ないだろう・・・と思い、

結局、長距離バスの道を選びました。

なるべく寝るように努力しようと思い、覚悟を決めて、バスに乗りました。

 

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意外と快適な長距離バス

 

けれど、実際に乗ってみるとバスも案外、快適でした。

途中で短いトイレ休憩もありましたが、ほぼぶっ通しで4時間。

スペインからポルトガルへ向かうにつれて、街並みが変わっていく様子なども見れて、

思ったより良いバス旅となりました。

そしてポルトのバスターミナル、「カーザ・ダ・ムジカ駅」(Casa da Musica)に

到着したのは、現地時間で20:45。

ここで時計を1時間戻しました。

 

(夫記)


ポルトガルへは初めての入国です。
でもヨーロッパのシェンゲン協定の加盟国なので、入国審査もなく、パスポートを出すこともないまま、国境を越えていました。
ポルトガル語スペイン語は親戚のようなもののはずですが、ポルトガルに入った途端、耳に入ってくる言語は物静かなものになった気がしました。
もともと抱いているイメージのせいもあるのでしょうが、そこに住んでいる人たちの「生き馬の目を抜く感」が、だいぶん下がったような気がします。


日本人にはポルトガルの風土・気質は良く合うようです。海洋国で魚好き、性格は穏やかで控えめ、という感じが、他のヨーロッパ諸国に比べて落ち着くのか、ポルトガルにはまって長期滞在する日本人は結構いるようです。いろいろ理由はあるのでしょうが、物価が他に比べて安いのも嬉しいところです。

 

 

バスターミナルを降りると、すぐに地下鉄の「カーザ・ダ・ムジカ駅」があります。

そのまま荷物を持って、階段を下りて行きます。

券売機はすぐ階段を下りたところにありました。

ここでメトロの乗車券、アンダンテを買います。

ICチップが埋め込まれているので、改札の出入りもワンタッチ、

チャージも出来て、日本のパスモのように使うことができます。

 

今晩予約しているのは、隣りの駅「カロリーナ・ミシャエリス」(Darolina Michaelis)

から徒歩3分のホテルです。

メトロでひと駅、あっという間に着きました。

夜遅い到着なので、駅構内および駅周辺などの治安を心配しましたが、

ただの住宅街のように見える駅で、まだ人通りもあり、

治安が悪い印象は受けませんでした。

ちなみに、このホテルを予約したのは、

街の歴史地区やドウロ川周辺の観光地まで、徒歩15分くらいで行けるからです。

 

ホテルに到着して、早速チェックイン。

街の地図をもらい、明日の観光ルートの相談をしました。

もう夜遅いので、急いで夕食を取りたいと思い、

どこか美味しいレストランがないかときいたところ、

ホテルのすぐ裏の通りを行ったところにある、

地元の人たちがよく通う食堂を紹介してくれました。

 

 

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裏通りの食堂へGO!

 

荷物を置いて歩いていくと、すぐに明かりが見えて、食堂が見つかりました。

中に入ると、カウンターとテーブルが6個くらいが並んでいる小じんまりとした作り。

天井から吊り下げられたテレビからは、サッカーの試合が流れていました。

他にも、もう二組のお客がいました。

本当に地元の食堂という感じでした。

 

ここからはもうポルトガル語しか通じないので、意思疎通が難しくなります。

ちょっと緊張しながらメニューを見ましたが、今イチ、分からず。

すると ”肝っ玉母ちゃん” 的な店員さんがやってきて、

「何を食べたらいいのか分からなければ、とりあえずこれを食べときなさい!」

というようなことを言った風で、何やら、隣りの常連さんらしきグループから

一皿借りてきて、見せてくれました。

どうやらお勧めのチキンらしかったので、もう疲れていた私たちは、

この際、名物料理とかは置いておいて、頂けるものを頂くことにしました。

それと、いつものミックスサラダも(Salada Mista)、忘れずに頼みました。

これでフランス、スペイン、ポルトガルと全3か国のサラダ征服です。

夫は、大好きなガス入り水(炭酸水)を飲んで、ご満悦でした。

 

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炭酸水、大好き

 

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ミックスサラダも美味しいですよ

 

ほどなくして、メインのチキンがやってきました。

トーストも付いていて、思ったよりもずっと美味しそうです。

口にしてみると、想像以上に肉汁がジューシーで柔らかく美味しい、

ローストチキンでした。

後でガイドブックの名物料理のページを見ていると、

「フランゴ・アサード(Frango Assado)」というローストチキン料理が。

恐らくこの料理だったと思われます。

外国人旅行者と知って、食堂自慢の郷土料理をお勧めしてくれたのだと思いました。

期せずして、とても美味しい名物料理を食べることができて、ラッキーでした。

 

それと、食後のカフェを頼みました。

ポルトガルでは、同じカフェでも、ミルクや水の量によって

様々な呼称があるようです。

それだけカフェに思い入れのある国なのでしょうか。

カフェと、何か特別な繋がりや深い歴史があるのかもしれません。

 

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フランゴ・アサードとメイア・ドゥ・レイテ(ミルクコーヒー)

 

ポルトガルに入って1日目。

夕食だけのポルトガル体験でしたが、大満足でした。

明日からは、ポルトガルの観光に入ります。

とても楽しみです。