レンタカー&鉄道で巡る 南仏・スペイン巡礼路・ポルトガルの旅 17日間

旅好き夫と怠け者妻の夫婦ふたり旅・・・ちょっと長かったけど、楽しかったです。

<第2日目: 7/29(土)> マルセイユへ到着~エクスアンプロヴァンスへ。

「7/29(土) 04:30AM パリ着」、まだ外は真っ暗。

夏なので、軽い服装しか持って来ていなかったのですが、

なぜか空港を行き交う人々は、結構厚着。

まるで秋のよう・・・。

少し不安を覚えながら、約4時間の乗り継ぎ待ちです。

 

妻は7年ぶりの海外。

これからどんな旅が始まるのかワクワクします。

 

その後、「08:25AM発のAF-7672」にてマルセイユへ。

09:45AMに到着しました。

 

さんざん機内で寝たので、元気です。

荷物をピックアップ後、すぐに空港外へ出るので、

取り急ぎ、盗難対策。

 

肩掛けかばんをたすき掛けにして、

さらにバッグ部分に上から上着をかけて、

スリができにくくしました。

 

何度か海外生活をしてきた中で、

盗難に対する恐怖が、より増殖してしまった今。

今回は夫と一緒の旅なので、

ひとりで生活していた頃と比べて、不安は少ないものの、

それでもビクビクがぬぐえません。

 

怯える私を尻目に、夫は余裕でスタスタ歩きます。

もう少し、盗難に備えて気を付けてほしいと思うけれど、

男性と女性は狙われる率が違うので、

やはりここら辺の心持ちは差が出てしまいますね。

 

さて、空港を出たところで、早速Hertzレンタカーの看板を探します。

マルセイユは晴天で、とても清々しく、素晴らしい滑り出しとなりました。

 

Hertzのカウンターは、すぐに見つかりました。

それほど混んでいなく、あっという間に順番が・・・。

カウンターの担当の女性は、私たちが日本人だと知ると、

自身が来週、日本に旅行に行く話などをしてくれました。

日本が好きと言ってくれたので、とてもうれしてくなりました。

 

簡単な契約の説明を受け、保険の確認などをしました。

JAFにあたるサービスが受けられるオプションも追加。

空港からマルセイユ市内への道なども質問しました。

 

各街での駐車場については、

路上の駐車場でなく、地下の駐車場を探すようにアドバイスを受けました。

路上では破損や盗難の心配があるけれど、

地下の駐車場では、きちんと施錠さえすれば安全とのこと、

車上荒らしが心配だったので、アドバイスを受けて安心しました。

 

いよいよ、キーを受け取って車を探します。

たくさんの車の中から該当車を見つけて、

早速、施錠を外します。

車はシトロエン

何だか日本車よりずっと高性能に見えます。

 

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シトロエン

 

(夫記 )

フランス車を運転するのは初めてです。ん!これは?と思った点が2つ。まずハンドルの奥の上部に、プラスとマイナスとだけ書いたノブのようなものが付いています。なんじゃこれは?と思い、駐車場にいたその辺のお兄さんに聞いて見ると、どうやらこれで、オートマ車であるにもかかわらずマニュアル車のようなシフトチェンジができるらしい。ハンドルを握った手の中指薬指あたりをちょっと伸ばして動かせば、シフトダウンしてエンジンブレーキを効かせたり、といったマニュアル車チックな運転ができるのです。これは便利でした。
もう一点、おお、と思ったのは、メーターの上あたりに走行中の道路の車線の状況がリアルタイムで映し出されるところです。そして、車線をはみ出すと警告音が鳴ったりする。どういうシステムで、そうなっているのか分かりませんが、車が道路と自車の位置をここまで把握できるのなら、自動運転は本当にもう目前まで来ていると言えるでしょう。
フランス車なんて日本車の敵ではないだろ、と、思っていましたが、シトロエン、侮れません。侮れないどころか、このコンパクトクラスの車でこの装備。ひょっとすると日本車の上を行っているのでは?という不安にかられるくらい、良い車でした。

 

施錠の仕方や、トランクの開け方などを確認し、

ハンドル廻りもチェック。

分からないことはカウンター付近にいるスタッフにきいて、

ちょっとドキドキしながら、公道へ。

 

これが本当の旅の第一歩。

Google Mapで道を確認しながら、マルセイユ市街へ向かいます。

右側通行に注意するくらいで、特に難しいこともなく

快適なドライブです。

思った以上にGoogle Mapが使えるので、

ほぼ間違えずに、マルセイユ市街に到着しました。

 

マルセイユでは、アドバイス通りに地下駐車場を探してパーキング。

街の中心、旧港(Vieux Port)へ向かいました。

旧港にある「イフ島船着き場」の広場は、観光客で賑わっていました。

海が本当に青くて、カモメも飛んでいます。

街並みも異国情緒があり、ずっと憧れていた南仏に来たのだな・・・と

妻は感慨深くなりました。

 

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マルセイユの旧港でポーズ

 

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レストランを探す

 

旧港の並びにあるテラスレストランで、

マルセイユ名物の「ブイヤベース」と、ムール貝を食べました。

適当に入ったレストランでしたが、

びっくりするほど美味しかったです。

 

その後、いろいろなレストランで食事をしましたが、

初日のブイヤベースとムール貝

これに敵う食事はありませんでした。

プロヴァンスの感動が強かったので、

余計おいしく感じたのもあるかもしれませんが、

それでもやはり美味しかったです。

 

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ブイヤベースとムール貝

 

この日は、マルセイユには泊まらず、

そのままエクスアンプロヴァンスへ向かうことになっていたので、

美味しい食事をいただいてから、

早速ドライブに戻りました。

 

マルセイユから約1時間のドライブで、

エクスアンプロヴァンスへ到着しました。

中心地より少し離れたホテルを予約していたので、

早速チェックイン。

エクスアンプロヴァンスの滞在は一晩だけなので、

急いで街の観光をしなければいけません。

 

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シトロエンと一緒に

もうすでに午後3時ころになっていましたが、

ガイドブックを片手にまた車に乗り、

街の中心へ向かいます。

 

プラタナス並木の美しいミラボー通りを走って、

ド・ゴール広場へ。

地下駐車場を探してパーキング後、街をプラプラ散歩しました。

 

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ここで気が付いたのですが、

アジア人がいない!

行き交う言葉もフランス語オンリー。

おしゃれなフランス人ファミリーの夏の観光地のようでした。

 

私たちといえば、ラフなシャツとパンツ、肩掛けカバンにガイドブッグ。

サマードレスの女性たちを前に、

ちょっと恥ずかしい旅行者スタイルでした。

 

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プラタナス並木の通り

 

テラス席のレストランが並んでいて、

どこで夕食をとるか迷います。

その中でも、氷の上に並んだ魚が新鮮そうな、

雰囲気が良いテラスレストランに入ることに決めました。

 

ところがここから大変でした。

英語メニューの数が少ないらしく、待てど暮らせどメニューがやってこない。

英語ができるウェーターも忙しいらしく、

やって来たのはフランス語オンリーのウェーター。

身振り手振りで魚の説明やメニューの説明をしてもらったものの、

こちらも疲れてしまったので、

適当に注文することにしました。

さすが南フランス。

英語が通じづらく、フランス語ができないと

食事を頼むのも一苦労だということを実感しました。

 

でも仕方ありませんね。

ここはフランスです。

勘で頼んだメニューは結構おいしかったです。

 

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しかし、高かった・・・。

ワンプレートに牛肉や野菜、ポテトが入って35ユーロくらい。

日本円にすると、5,500円くらい・・・高い!!!

その他、軽く数皿頼むと10,000円は越してしまいます。

 

ここが観光地値段なのか、

それとも円が安くなってしまったからなのか・・・。

食べ物の物価の高さを強く感じました。

日本は本当にデフレなのですね。

通りで外国人がたくさん日本に観光に来ていると思いました。

 

20年くらい前までは、まだ日本円は強く、

海外と比べて物価も高かったと思います。

海外に来て、レストランに入り、あまりの値段の高さに食欲をなくすなんて、

そんな時代が来たことに、改めてショックを受けた私たちでした。

 

それでも夜風が気持ちいい街を歩きながら、

大満足で駐車場に向かいました。

ホテルに着いたのは、9時過ぎ。

長い初日が終わりました。

 

(夫記)


今回の旅は、この20年間日本がデフレだったことを否応なく意識させられました。

日本で暮らしていると、物価が安いのはありがたいことで、

日常生活でデフレを意識することはあまりありません。

しかし、今回、ヨーロッパを旅行して、食料品の物価の高さに

驚かされることがしきりでした。


ヨーロッパの通貨がユーロになる前の頃は、まだまだ円が強くて、

ヨーロッパでもたいていの国では物価は安く感じられたものです。

ですがユーロ以後は、ドイツマルクの貨幣価値が統一通貨のユーロに

なり変わったような感じがあって、お世辞にも経済が強いとは言えない

ギリシャやスペインにいて物を買うのに、なんでこんなに高いの?と

感じることが多くなりました。


ただ、今現在、為替レートが円安なのかというと、円ーユーロが

それほど著しく円安に振れているということでもない。

なのに食料品や食事代金がやたら高く感じます。

こんなに生活必需品の物価が高かったら、ヨーロッパの中でも

経済の強くない国々では、賃金が高くなったわけでもないだろうから、

みんな生活が大変だろうに。いったいどうなっているのだろう。

ユーロ圏への不満の種はこんなところにもあるんだろうか。などと考えていました。


ただ今回、ヨーロッパを旅して、思いのほか多かったのが

「日本に行ったことあるよ。また今度行くよ。」という人の多さです。

日本政府が観光立国の政策を取っているからだけではないでしょう。

ユーロ建てで生活している人にとって、恐らく今の日本は、

物価が安くて旅行しやすい国、になっているのです。

その原因として思い当たるのは、過去20年にわたる日本のデフレであったわけです。

 

 

 

<第3日目: 7/30(日)> エクスアンプロヴァンス~        ルールマラン~ラコスト~ゴルド

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ホテル前のプラタナスの並木

空は晴天。

ホテル前には、プラタナスの並木が広がっています。

窓から眺める清々しい景色に、旅に出たことを実感しました。

旅はこれから・・・。

久々の海外旅行に少し興奮気味の妻の横で、

毎年辺境の国々へ旅をしている夫は、淡々と出発の準備をするのでした。

 

10時チェックアウトに合わせて、早速、レンタカーに乗り込みます。

私たち夫婦は、休日は朝食を食べない派なので(ただの寝坊です)、

今回の旅行中も、朝食を飛ばして先を急ぎます。

一食抜くだけでも、案外良い時短になります。

 

今日はリュベロン地方の美しい小さな村々を回っていきます。

まずは、ルールマラン(Lourmarin)へ。

地球の歩き方には「オリーブ畑や果樹園の緑に囲まれた平和で美しい村」

とあります。

山あいの村ですが、可愛らしい雑貨店やカフェも並び、

お洒落な雰囲気が漂っています。

作家のカミュが晩年を過ごした村としても有名だそうです。

 

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ルールマラン城

 

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お洒落なメインストリート

 

早速、車を駐車して村の散策へ。

観光シーズンなので、割と混雑している印象。

狭い通りを賑やかに人々が行き交います。

 

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賑やかな通り

 

気持ちの赴くままに、

家々の間の細い路地も歩きました。

南仏の田舎のイメージにぴったりの穏やかな風景に大満足。

小さな村なので、迷うことなく散策を堪能できました。

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雰囲気のある細い路地

 

広場のカフェでお茶もしました。

絵葉書に出てきそうなカフェでお茶をするのは良い気分です。

 

行き交う人々を眺めながら、その言語を聞いていると、

フランス語のほかにスペイン語も多いようです。

思いの外、英語は聞こえませんでした。

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広場のカフェ

 

 そろそろ次の村へ向かおうと駐車場へ。

駐車場の空き待ちらしき人に、

がっつりフランス語で話しかけられました。

さっぱりフランス語は分からないのですが、

勝手に会話を想像。

少しだけ話せるスペイン語ジェスチャーで、

「今から出るけれど、準備があるからちょっと待ってくれる?」とか

言ってみました。

 

あちらがスペイン語が分かるのかは不明でしたが、

ニコニコしながらうなずいて車へ戻って行ったので、

何となく通じたようで、ほっ。

 

でもやっぱり、フランスの田舎へ行くなら、

片言でもフランス語の勉強をしてきた方が良さそうですね。

次回、来ることがあれば、

少しくらいは勉強して来ようかなあ・・・と思いました。

 

 

そして、次の村へ出発。

もう午後を結構過ぎていたので、旅を急ぎます。

 

ほどなくして到着したのは、ラコスト(Lacoste)。

ここは夫の強い希望で立ち寄りました。

18世紀、あの有名なサド侯爵が領主を務めていたとのこと。

現在の人口はわずか400人。

リュベロン地方で最も小さい村だそうです。

 

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広がるのどかな景色

 

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サド侯爵の城

観光場所は、ずばり「サド侯爵の城」のみ。

外郭は、荒廃した中世の城、という感じでしたが、

現在はピエール・カルダンが所有し、夏にオペラやコンサートも開いているそうで、

内部の一部は綺麗に修復されていました。

 

(夫記)どうせなら、カルダンではなく、ワニのラコステが買収すればよいのに・・・

 

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サド侯爵城の外郭

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サド侯爵城の内部

 

すっかり夕刻に近づいてきました。

本日の宿泊地、ゴルド(Gordes)へ向かいます。

ゴルドの滞在も1泊だけなので、

街の観光は夕食前に済ませなければなりません。

大忙しです。

 

ほどなくして、ゴルドへ到着。

まずは事前にネットで予約していたホテル「Des Romarins」へ到着。

崖の上に立つホテルで、ちょうど崖の向こう側がゴルドの村の中心地。

 

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崖上のゴルドの村の中心地


 

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反対側の崖上に立つ家々

 

有名なゴルドの景観「崖上に岩のように密集している街並み」を、

中庭から一望できるというベストポジションに立つホテル。

部屋はコテージ風で、これまた南仏のイメージらしい

可愛らしいホテルで大満足でした。

今回の旅行で印象深かったホテルのうちのひとつでした。

 

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ホテルの中庭

 

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ホテルの駐車場

 

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コテージ風の部屋

 

日が長い夏。

ホテルで遅めの8時に夕食の予約をしてから、

急いで村の中心地へ。

崖の向こうを目指して10分ほど道路沿いに歩くと、

街の中心地が見えてきました。

 

石造りの家々が特徴的で、

昔よく読んだ童話に出てきそうな街並みでした。

しばし街の広場にあるベンチに座って、アイスクリームを堪能。

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街の広場のベンチで休憩

 

バタバタと忙しく走ってきた今日一日。

実は食事らしい食事をしていないことに気付きました。

今晩はホテルでコース料理を予約したので、

豪華フレンチに期待を寄せています。

 

6時頃を回っても、まだ明るい夏。

ホテルに帰っても、8時の夕食まで時間があるので、

気になっていたプールへ。

 

夕方になり、結構寒くなってきていましたが、

「南仏のホテルで泳いだ」という響きが、

ひどく格好良く思えたので、寒さを我慢して泳ぐことにしました。

 

・・・寒い。めちゃくちゃ寒い。

でも死んだ気で入ったら、ほどなくして慣れてきました。

20分くらいいたので、もう「南仏のホテルで泳いだ」という称号は得たと思い、

上がることにしました。

20代の欧米人カップルが、大はしゃぎでプールを堪能していましたが、

40-50代カップルの夫婦には苦行でした。

でも良い思い出になりました。

 

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寒かった思い出のプール

 

そしてやっとお待ちかねの夜8時。

さすがに外は暗くなり、中庭にセッティングされたテーブルには

ランプが灯されています。

他にも数組、ゲストがいて、

思い思いにワインを片手に食事を堪能していました。

 

私たち夫婦は残念なことに、ふたりとも下戸なのです。

良い年をした夫婦が、お洒落なレストランで

「ソフトドリンク、シルブブレ」的なのは、

いかがなものかと思いますが、仕方ありません。

ちょっとワインに見えそうなジンジャエールで見栄を張ってみます。

 

今日初めてのまともな食事。

豪華フランス料理を写真に収めてから、口にします。

野菜たっぷり、見た目も美しい食事でした。

少しお肉が硬かったけれど・・・。

 

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南仏料理は、ソースがさっぱりしていて、

野菜やお肉の素材の味を生かしている気がしました。

 

明日はまた次の街へ旅立ちますので、

ほどほどのところで、部屋に戻ります。

ゆったり連泊の旅が好きな妻には、

連日、他のホテルに移る生活がなじめず、

ちょっと旅芸人の気持ちになってきましたよ・・・。

 

  

<第4日目: 7/31(月)> ゴルド ~ ポン・デュ・ガール   ~ アヴィニョン

昨日は大忙しの一日だったけれど、

今日は割とのんびり余裕のあるスケジュールです。

 

ゴルドから車を走らせ、アヴィニョン(Avignon)方面へ。

一旦、アヴィニョンを通り過ぎて、その先にある

ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)へ向かいます。

 

ポン・デュ・ガールは「緑の谷に架かる巨大なローマ水道橋」とのこと、

1985年に世界遺産に登録されています。

 

山に向かって走っていくと、ガルドン川が見えてきます。

ほどなくして、ポン・デュ・ガール入口の看板が・・・。

駐車場に入っていくと、キャンピングカーやバスなどの大型車も止まっていて、

大盛況。

てっきり「渓谷に架かっている水道橋を遠目から見る」

・・・くらいの観光地だと思っていた妻は、がっつり駐車場があり、

ビジターセンターがあり、入場券を購入という大がかりな設備に

ちょっと面食らってしまいました。

考えたら、世界遺産だから、維持費もかかるだろうし、

きちんと管理するのは当然なのですが、

事前知識のない妻は、もっと自然なかたちで

ひっそりと谷に佇んでいる橋だと思っていたのでした。

 

ビジターセンターで入場券を買い、中に入ると、

川には水遊びをする子どもたちが・・・。

その先に、大きな水道橋が見えます。

あれですね・・・。

 

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ポン・デュ・ガール、ローマの水道橋

 

ビジターセンターから水道橋へ向かって歩き、

水道橋の下方を歩いて川向うへ渡り、対岸を逆方向に歩いて

もうひとつの出入り口へ向かうことにしました。

この真夏の炎天下、結構大変な散歩が予想されます。

 

その前に腹ごしらえをしようということで、ガーデンレストランへ。

夫はランチセットを。

妻はフルーツたっぷりのサラダにしました。

 

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妻のフルーツサラダ

 

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夫のランチセットの前菜


 妻はこの頃から、メニューを吟味するのが、だんだん面倒臭くなってきました。

一部名物料理は食べるにしても、それ以外は、

怒涛のサラダ攻撃が始まります。

元来サラダ好きなので、下手に重い肉料理を食べるより、

野菜で身体を整える方が体調に良いのです。

 

サラダの種類が豊富な南仏は(プロヴァンス風サラダ、ニース風サラダなど)、

妻にとっては身体に優しく美味しい旅行となりました。

(でもサラダと思えぬ値段の高さ・・・日本なら1,000円くらいのサラダが、

2,000円くらいってどうよ?!・・・って思いましたが、観光地なので

仕方ありませんね)

 

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水道橋で楽しそうな夫

水道橋は大きく、見事でした。

橋の下方を歩いて川の向こう側へ歩きます。

橋を渡り切ったところで、そのままもうひとつの出入り口を目指します。

途中で、年輪を重ねたオリーブの木や、古木が無造作に生えています。

 

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オリーブ好きの妻

 

暑いので、だんだん無口になる妻。

もうすぐ出入口、やっとゴールと思ったところで、衝撃の事実発覚!

何とやっと到着したこの出入口と、スタート地点の対岸の出入口とは、

繋がっていない・・・というか最初の出入口付近にある駐車場に戻るには、

こちらの出入口からでは戻れず、とにかく元来た道を戻って、

また橋を渡り、対岸を歩いて戻るしかない・・・ということに気付きました。

 

ああ。

もう何も考えないで戻るしかない。

妻はもうガシガシ脇目も振らず、元来た道を戻ることにしました。

暑い、あつい、アツイ・・・。

競歩のような速さで、人並みを逆流して、ようやく辿り着いた駐車場。

もうしばらく大自然はいいや・・・と思った妻でした。

普段から登山が好きで、歩き慣れている夫は、

大して何とも思っていないようでしたが。

 

そして、いよいよ今日の宿泊地、アヴィニョン(Avignon)へ向かいます。

アヴィニョンは、城壁に囲まれた街です。

中心街へ行くには、城壁の外側から回り込んで、

点在する城門のひとつから入って行くのですが、

一方通行が多くて、適当な城門に辿り着くのに、少し苦戦しました。

また街中の道も狭く、やはり一方通行が多いので、

これまたホテルへ着くにも一苦労。

 

昔ながらの景観が守られて雰囲気のある街並みでしたが、

入り組んだ道が、車移動には酷でした。

何度かぐるぐる回って、やっとホテルに到着。

ほっとしました。

 

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アヴィニョンの街並み

 

ここで妻が気付いたこと。

何だか、街が薄汚れてるというか荒廃してる?

そう感じた理由は、狭い路地の壁の至るところに、

紙のポスターが何種類も貼ってあって、それが剥がれ落ちて、

風に飛ばされて、道に散らばっていて・・・。

紙屑があちらこちら、舞っていたのです。

ろくに掃除していない街・・・?

 

何となく、ゴミだらけの狭い路地が無数にある街は、

治安が悪い気がして心配になりました。

 

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壁にぎっしりのポスター

 

不安になって、ホテルのレセプションで街の治安を聞いたところ、

意外にも「全くもって心配なし!安全!」という返答。

それをきいて少し安心した妻。

 

チェックイン後、急いで、街歩きと食事に出かけます。

その際に貴重品を”ホテルに預ける”か、”持っていく”か、少し悩みました。

今回のホテルは、全くもって普通の安めのホテル。

セイフティーボックスもなく、預けるとしたらレセプションですが、

雑多な事務室のようなレセプション。

 

結局、預けるよりも、ひったくりに気を付けながら、

全財産を持ち歩くことにしました。

バックをタスキ掛けにして、しっかりとファスナーを押さえ、

警戒しながら、歩く妻。

過去、南スペインで何度かひったくりに合ったことのある妻。

(その内1回は、目の前でナイフを使ってバックの紐を切られそうになった)

人一倍った警戒心が強く、この旅の前半戦はずっと、

どこか怯えながら旅をしていました。

 

それに引き換え、夫は心配なんてどこふく風。

辺鄙な国へ行っては、スマホ盗まれたり、そこそこ盗難に合っているのに、

「あ~あ、盗られちゃった。残念!」くらいでちっとも堪えていない。

心配性のA型妻と、おおらかで適当なO型夫という性格の違いもあるけれど、

これ、男女差によるショックの受け止め方の違いなのかも・・・。

 

ポスターの紙屑が舞い散る薄暗い路地を歩いて、

法王庁宮殿などの観光へ。

アヴィニョンも一泊なので、とりあえず見どころは押さえます。

それから街の中心の広場へ行くと、大勢の人だかりが・・・。

大道芸をやっていて、とても賑やかでした。

 

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法王庁宮殿入口

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法王庁宮殿内部

 

そこでハタと気付いたこと。

ガイドブックによると、ここアヴィニョンでは、毎年7月上旬から3週間、

街をあげて夏の芸術祭が大々的に行われていること。

劇場だけでなく、街の至るところが舞台となって、

大小300にも上る演劇が催されるとのこと。

それを目当てに世界中から人々が集うということ。

 

私たちが到着したのは、ちょうどそんな芸術祭が終わったばかり。

街の薄暗い路地に、所狭しと貼られたポスターは、

実は、この芸術祭の舞台用の告知ポスターであり、また芸術祭終了直後だった為に、

街の清掃がまだ追い付いていなかったのではないのかということ。

 

・・・そう気付いた途端に、

不衛生で治安があまりよくなく見えた路地裏が、

芸術的で生き生きとした路地裏に見えてきました。

ただの紙屑だと思っていたポスターだって、

とても文化的な匂いがするように思えてくるから不思議。

こんなに芸術的で華やかな街なのに、勝手に荒廃した街だと思って、

大変失礼しました・・・と思った妻でした。

 

そして広場で食事。

大量のムール貝とサーモン料理で大満足でした。

日本では、こんなに大量のムール貝は、なかなか食べられないので、

今のうちにたくさん食べておきます。

 

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とりあえず炭酸水で乾杯!

 

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ムール貝とサーモン料理でご満悦

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ニース風サラダも。


 

今日も結局、なかなか疲れた一日でした。

まだまだ先が長い・・・。

毎日スケジュールをこなすのに手一杯で、どこへ行ったのか、何を見たのか、

ちょっとゴチャゴチャになって、分からなくなって来ました。

妻、ハードな部活の合宿に参加している気持ちにもなって来ましたよ・・・。

  

 

<第5日目: 8/1(火)> アヴィニョン ~ カルカッソンヌ

 

今日はアヴィニョンから、カルカッソンヌ(Carcassonne)へ。

ひとつの街の見学だけなので、今日こそ余裕があるかな・・・と思いつつ、

アヴィニョンの街の城壁外へ出ました。

 

今日も良い天気でドライブ日和。

車の助手席で鼻歌を歌う妻。

城壁脇の信号機が赤になり、夫がゆっくりブレーキをかけます。

 

 

・・・とそこで異変が!

赤信号で停車している何車線かの車をめがけて、どこからともなく

窓拭き道具と雑巾を携えた複数の男女が、駆け寄って来ます。

ジプシー風の女性もいれば、最近の若者のような男女も・・・。

 

私たちのシトロエンの前にも、にんまりと笑った金髪・そばかすの若い女性が。

ニコニコ愛想を振りまきながら、夫側のフロントガラスを拭いて、

今度は妻側のフロントガラスへ。

突然の出来事に、妻、驚きを隠せません。

 

隣の別の車(運転手は地元の人らしい)でもジプシー風の女性が、

かいがいしく掃除を始めます。

運転席と助手席、ふたりともが窓を閉めたまま、手を大きく振って、

どいて!というジェスチャーをしています。

 

これって、勝手にフロントガラスを掃除して、料金を要求するやつ・・・。

うっかり窓を開けたら、どうなるか分かりません。

さすがに先日テレビ番組でやっていた、某南米の国のように、

車の窓を開けたら銃を突き付けられたとか、盗難に遭ったとか、

そこまで怖いことは起こらないだろう・・・と思いつつも、

不信感と不快感でいっぱいになりました。

 

隣の夫婦のように、私たちもふたりで、どいて!というジェスチャーをしたのですが、

この女性、私たちが旅行者で不慣れだと思ったのか(当たってるけど)、

信号が青になってもなかなかどかず、それどころか、

妻側のサイドガラスをものすごい鬼の形相で覗き込んできて、

料金払え!というアピールとともに、

窓を拭く器具で、サイドミラーをバンバン叩き始めました。

 

・・・怖い。こわい。コワイ。

お姉さん、怖いよ。若いのに怖すぎる・・・。

もうホラー映画の一場面を思い出して、妻、泣けてきました。

 

なぜ・・・というか、ちゃんと相手を選んでいるというか、

夫ではなくて、弱そうな妻の方ににじり寄って来ます。

だからと言って、それに負けて窓開けてお金払ったりしないけれど、

腹いせに、本当にミラー壊されたらどうしよう。

レンタカーなんですよ、これ。

保険かかってても、壊されるの嫌だ・・・。

 

頭が若干、パニックになっている妻を横目に、

夫は冷静に、徐々に車を発進し始めました。

それでも進行を邪魔するように、数秒、

フロントガラスにのしかかっていた彼女でしたが、

諦めたのか、最後に渾身の恐ろしい顔で、妻をキッと睨んで去って行きました。

 

ひえ~~~~。

これ、絶対、夢に出てくるよ~~~。

 

夫はちょっとイラっとしながらも、

平気で運転を続けていましたが、

妻は、この一件、しばらくトラウマになりました。

 

とはいえ、怖かった経験は後にも先にもこれだけだったので、

やはり、全体的にはとても安全な旅だったと言えましょう・・・。

 

さて、妻が気を取り直して、Google Mapで道のナビをします。

妻は方向音痴ですが、意外と地図を読むのが好きなのです。

運転は下手だけれど。

途中、ドライブインに寄りながらも、いよいよ目的地に。

 

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ドライブインで休憩中

 

そして、カルカッソンヌ(Carcassonne)に到着しました!

この街は、ヨーロッパ最大の城塞が残っていて、

カルカッソンヌを見ずして死ぬな」とまでいわれているそうです。

(←この「・・・を見ずして死ぬな」的な言い回し、

世界の観光地には結構ありますね。でも、そう言われたら見ないわけにはいきません)

 

この街は、高台を占める中世の城塞”シテ”と、城外の下町とに分かれています。

見学したいのは”シテ”の方。

早速、高台に上がって行き、駐車して入口の門へ向かいます。

 

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シテの入り口、ナルボンヌ門

 

ちょっとディズニーの白雪姫のお城のような城塞です。

その門の中に、城内の街があります。

観光客が、次から次へと門の中へ吸い込まれていきます。

 

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門の外側の城壁

 

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反対側の城壁

 

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門の中へ・・・

 

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なぜか「進撃の巨人」の一場面を思い出しました

 

早速、私たちも中へ入って行きました。

中心のコンタル城まで城内の石畳の通りを歩いていきますが、

両側の古い家屋や街並みが、中世の童話の中に出てくる挿絵のようで、

とても気に入りました。

 

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童話の挿絵みたいな街

行きの飛行機で「美女と野獣」の実写版映画を見たのですが、

そのベルが住む街ってこんな感じだったのかな・・・と思わせる雰囲気でした。

ここでなら、ベルが歌いながら横丁から飛び出してきても、

全然おかしくないです。

・・・いや、やっぱりおかしいか。

 

(夫記)
こういう典型的な中世ヨーロッパ風のお城を見て何を思い出すかは、世代間格差がありますね〜 進撃の巨人美女と野獣? いやいや、そこはリボンの騎士では?

 

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お土産屋さんもたくさん

 

そして、いよいよコンタル城内へ。

中庭や城壁を歩いたり、上から街を見下ろしたりして、中世の風を感じました。

妻は子供の頃、童話を読むと、内容よりも挿絵ばかりが気になっていて、

大人になったら、こういう挿絵の街へ旅したい・・・と思っていたのですが、

幸い、大人になってそういうチャンスに何度か恵まれてきたので、

子どもの頃の夢のいくつかは叶ってうれしく思います。

 

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中庭

 

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城壁の上を歩く

 

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城壁の上から見た街の景色

 

その後は、街の外のハイウェイ沿いにあるホテルへ向かいます。

チェックイン後、また街中に戻るのも面倒だったので、

ホテルの前にある巨大スーパー脇のカジュアルレストランへ。

 

サラダの食べ放題があったので、うれしかったです。

もう名物料理とか、きちんとしたレストランとかに対する憧れは薄れていて、

リーズナブルに普通の食事ができれば(特にサラダが食べれれば)幸せです。

 

調子に乗った妻が、サラダ横にある赤いトマト状の液体をドレッシングだと思って、

たくさんサラダにかけ始めたのですが、

後ろから来たメガネのお洒落なお兄さんが、

「それ、トマトスープですよ・・・」と困惑気味に教えてくれました。

紛らわしいですよ、その置き場所・・・。

 

その後、レストラン横のスーパーをブラブラして、

翌日のブランチ用に、またサラダを買いました。

以前から、ドライブが長い日は、スーパーでフランスパンやパテ、

サラダを買って、サービスエリアで食べようね・・・と計画していたので、

明日、早速実行です。

オリーブ数種類と、アンティチョークの酢漬けの瓶なども買い込んで、

明日のお昼を楽しみに、ホテルに戻ります。

 

(夫記) プロヴァンスでの旅の食事


プロヴァンスでは、ピーターメイルの本にも出てきそうな、ポテトとガーリックとチーズのオーブン重ね焼き(適当に命名)がいたく気に入りました。それと、必ずと言って良いほど食卓に添えられる、いろんな種類のパテ。定番は、黒いオリーブのパテですが、ガーリック入りの白いパテ、サーモンと唐辛子入りの赤いパテ、バジルの入った緑のパテなど、色も味もさまざまで、フランスパンに良く合います。これがとても美味かったので、ドライブ旅行中の昼食にしたほか、たくさん買い込んで日本に持ち帰り、家での朝食にしばらく食べていたのですが、、、、現地で食べたときほど美味くない。旅のあるあるですが、やはり、気候風土に合った食事は、現地でたべるのが一番美味い、ということですね。

 

ホテルでは、夫が翌日の見学ルートと宿泊ホテルを決めています。

妻は今回の旅では、大まかなルート(南仏→スペイン巡礼路→ポルトガル)と

一部の大都市の宿泊先しか把握していないので、

どこへ行くかは、その日の朝、車で知らされることになります。

(別に前日、教えてもらってもいいのですが、妻は寝てしまって聞く気がないのです)

 

妻はこのギャンブル的な旅・・・というか全部丸投げ、無責任な旅が、

結構気に入っています。 

楽だから。

 

さて、明日はどこへ行くのかな・・・?

まっ、どこでもいいか・・・ぐー・・・zzz