<第13日目: 8/9(水)> ポルト ~ コインブラ
さて今日は、午前中はポルトの観光をして、午後には鉄道にて
コインブラへ向かいます。
コインブラでも少しくらい観光したいと思いますので、
忙しい日になりそうです。
まずは、ホテルを出て、
世界遺産の歴史地区とドロウ川周辺のの観光スポットへ向かいます。
地図を片手に15分ほど、川へ向かって歩くと、
だんだん賑やかな歴史地区の中心地へやって来ました。
街の家々は密集していて、横の建物との間の壁が独立していません。
ぴったりとくっついて所狭しと建てられた住居ですが、
その分、正面側の壁は各自、個性的に彩られ、
窓やベランダもそれぞれ特徴があり、隣との違いを主張しているようです。
建物を見ているだけでも、楽しい気持ちになりました。
それから到着したのは「リヴラリア・レロ・エ・イルマオン」
(Livraria Lello Et Lrmao)。
世界で一番美しい書店といわれる本屋で、「天国への階段」と称される
内装は、素晴らしく美しいものです。
ハリー・ポッターの作者、J.K ローリングが英語教師として
ポルトに滞在していたので、この書店が、ハリー・ポッターの世界観に
影響を及ぼしたのではないか・・・とも言われているそうです。
夫は、入店するのを楽しみにしていたのですが、
店の外には長蛇の列が・・・。
調べたところ、ネットで入場時間を予約した方が良さそうだったのですが、
今イチ、予約の仕方が分からないので、
書店横の予約受付カウンターへ行って、そこで予約しようとしました。
ところが、ここも並んでます。
さらに運の悪いことに、何やら、予約サイトがダウンした様子。
受付のスタッフがバタバタする様子をしばらく眺めていましたが、
埒があかなそうです。
予約しなければ、1時間以上、書店の入口に並ぶしかない・・・。
並ぶのが大嫌いな夫は、入店を泣く泣く諦めることにし、
仕方なく入口で写真を撮ることにしました。
残念でした。
その後は、書店前の「クレリゴス教会」を横目に、
「サン・ベント駅」に向かいます。
この駅は「1990年に建造されたポルトを代表する濃厚な趣の鉄道駅」とのこと。
構内の2万枚のアズレージョ(絵タイル)の美しさが目を引きます。
写真を撮って、今度はドウロ川沿いへ向かうと、
また広場にやってきました。
路面電車も走っています。
少し歩くと、オレンジ色の屋根の向こうに、川が見えてきました。
あれがドウロ川。 観光船も通っています。
階段を下に降りて行くと、目の前に広がるのは「ドン・ルイス1世橋」。
高架橋技師のエッフェル(エッフェル塔を建築)の弟子により建設された、
二重構造橋です。
川沿いの街並みとドン・ルイス1世橋の風景は、
街の代表的な観光スポットです。
その手前には、かわいいお土産屋さんやレストランが軒を並べています。
ここで、さくっとお土産を買います。
妻は、母に青いペンダントを。
ポルトの空が青くて美しかったので、良い記念になりました。
それから、お腹もすいたので、眺めのよいテラス席のあるレストランへ。
夫は、ガイドブックに「モツマニア必食」とあった
(Tripas a moda do Port、ポルト風モツ煮込み)を食べました。
モツ煮が大好きな夫は、これは外せません。
モツやチョリソを白インゲンやニンニクで煮込んだ料理だそうです。
(夫記)
ポルトの名物料理、ポルト風牛もつ煮込み。
ポルトガル第2の都市、ポルトはポートワインの語源にもなった街です。
ポルトの市民は、トリペイロ(臓物食い)と呼ばれているのだとか。
かつて、ポルトガルがもっとも輝いていた大航海時代。ポルトの市民たちは、牛肉の良い部位は船に乗って航海に出て行く夫や息子たちに食べさせ、国に残った人たちは、余り物の臓物を煮込んで食べていた。それがポルト風もつ煮込みの発祥ということらしい。食に歴史ありですねえ。そう思って食べると、このもつ煮込みは、またひとしお、おいしいですよ。
妻は何となく、食べる気がしなかったので、
いつものように、サラダ。
海の近くなので、魚介のサラダを頼みました。
美味しくいただいたところで、ポルトの観光メニューも終了。
午後1時を回っていたので、急いでホテルへ帰り、
預けていた荷物をピックアップして、鉄道の駅へ急ぎます。
「カンパニャン駅」(Campanha)から、特急列車に乗って、
コインブラ(Coimbra)への特急は、優雅に1等車で。
ゆったりと落ち着いた座席で、新聞を読む乗客も。
クーラーも効きすぎるくらいで、つかの間の豪華な旅を満喫しました。
約2時間。 列車は「コインブラ」へ到着しました。
すでに16:00過ぎ。
駅前から歩いてすぐの「ホテル アストリア」へ。
モンデゴ川沿いで、優雅でクラッシックな佇まいの老舗ホテル。
客室の天井が高いのが特徴とのこと。
中に入ってみると、確かに落ち着いた重厚な作りのロビー。
アンティークなホテルだけあって、エレベーターも昔風で味のあるもの。
階段も狭いけれど、それがまたどこかの貴族の館のような趣があり、
歴史を感じさせます。
部屋も天井高く、シャンデリアも素敵です。
夕方になったので、荷物を置いて、急いで観光に出かけます。
コインブラの観光と言えば、、ポルトガル最古で屈指の名門「コインブラ大学」。
アルカソバの丘の上に立っており、その周辺の旧市街には、
中世の建築物が数多く残る歴史地区となります。
ホテルの裏を歩いていくと、街歩きの起点のポルタジェン広場があり、
その横から歴史地区に入っていきます。
石畳の雰囲気ある通りの両側には、お土産屋さんやカフェがあり、
たくさんの絵ハガキやマグネットを乗せたラックが、店の前に置かれています。
坂道をゆっくり上がって行き、くねくねとした通りのさらに上っていくと、
小さな広場があり、カフェでお茶を飲む人、
階段に腰かけて休憩する人などがいます。
確かに、急な坂道と階段が続くので、かなり疲れます。
コインブラ大学の学生さんは、こういう坂道を毎日歩いて通っているのだなあ、
良い運動にはなるけど、大学行くのイヤになるなあ・・・などと思っていました。
先生や職員の方たちは、表通りからつながる道を車で通っているのでしょうか。
そういえば、正門近くにはバス停もあったので、
学生さんも、バス登校をしているのかもしれませんね。
若くても、毎日ここの坂を上るのはツライと思います。
何度かくねった道を左右に曲がりながら上がっていくと、やっと頂上に。
大学の建物が見えてきました。
けれど、黒いマントを着た学生さんたちの姿は目につきますが、
旅行者はいないようです。
大学の旧校舎にあるジョアニア図書館は必見なので、何とか見たいところ。
観光センターのようなところを見つけたので、早速入っていきました。
中は閑散としていて、観光客がいません。
受付できいてみると、もう閉館だそうです。
えっ・・・、コインブラに来て、コインブラ大学の見学をせずには帰れません。
明日は朝からリスボンに向かおうと思っていたけれど、急遽予定変更。
朝イチでコインブラ大学を見学してから、リスボンに行くことにしました。
明日に備えて、見学の仕方を確認。
基本的に入場料を支払えば、旧校舎内は自由に見学できるようですが、
見どころの図書館だけは、予め入場時間を予約しなければなりません。
予約時間の少し前に図書館入口に集まり、まとまって入館、
10分くらいで退館という流れのようです。
早速、朝10:00のグループを予約。
当日来て、その場で空いている時間を予約することもできるようですが、
前日予約をすれば待たなくて済むので、これで安心、良かったです。
大学は、夏休みの時期だと思うのですが、
それでも学生らしき人たちが歩いています。
暑いのに黒いマントを着ている人も。
コインブラ大学の学生の象徴のようです。
このマントを着たくて、受験勉強を頑張った学生さんもいることでしょう。
庭があったので歩いて行くと、そこには眺めの良い景色が・・・。
丘の上から見下ろした家々の屋根や、
夕日が反射していて輝いている川面が、とても綺麗でした。
それから、坂道を下って、旧市街の広場に戻って行きました。
夕食を取るレストランを探していたところ、お土産屋さんから歌声が。
ファドのCDが流れているようでした。
ポルトガルの民族歌謡であるファド。
このコインブラでも、レストランやバーで聞くことができるそうなので、
早速、お店を探します。
ちょうど、階段のある広場前のバーで、
夜08:00から、ファドの演奏があるとのこと。
予め席を予約しておき、開始時間より少し前に入店して飲み物を注文。
演奏中はお店が暗くなってしまうので、注文ができないそうです。
テーブル席を予約してから、まだ時間があるので、
テラス席のあるカフェでお茶をしました。
けれど夕方になると、外は結構寒い・・・。
予定外の寒さに、一旦部屋に帰って、温かい服に着替えてくることにしました。
ホテルが観光地に近いと、こんな時はとても便利です。
ホテルで身体を温めて、少し休憩してから、また出てきました。
夕食は、結局バーの近くの簡単な食堂で。
食べ終わってすぐに行けるので、ギリギリまで食堂でゆっくりできます。
妻は、またここでもミックスサラダを頼みました。
簡単な食堂なのに、割とボリュームあるサラダでうれしかったです。
夫は、ポルトガル名物の干しダラ(バカリャウ)を。
竜田揚げのようにも見えます。
予約時間15分前になったので、バーに向かいます。
小さいバーですが、二人掛けのテーブルが所狭しと並んでいます。
もう席もすっかり満席でした。
相変わらずの飲めないふたりなので、トニックウォーターとカフェを。
ほどなくすると、ドレスを着た女性歌手ふたりが入ってきて、
照明が消えて、舞台が始まりました。
ファドは、ギターなどの管弦楽器に合わせて、歌手が情緒たっぷりに歌います。
女性ふたりの歌手は、とても上手で哀愁が漂う歌声でした。
いろいろな言葉が飛び交っていたので、お客のほとんどは、
海外からの観光客のようでしたが、皆とても満足気でした。
本当は、最初の回の30分くらいで帰るつもりでしたが、
結局、次の回の演奏も聴いてから帰ったので、すっかり夜も更けてしまいました。
けれど良い演奏が聴けて、よかったです。
この旅行も、いよいよ終わりに近づいて来ました。
明日は、最後の宿泊地のリスボンへ。
ここまで身体も壊さず、風邪も引かずに旅して来れたので、
残りの日々、より気を付けながら、楽しみたいと思います。
(夫記)
ポルトガルの国民食と言われるのが、バカリャウ。たらを塩漬けにした干物です。このバカリャウを使ったメニューだけで365日過ごせるそうです。私たち日本人の味覚からしてもまずくはない。ただ、味は単調です。干し鱈ですから。
日本人に言わせれば、たらより、もっと美味い魚はいくらでもあるのに。と思うのですが、そこは大西洋にのみ面するポルトガルのこと。太平洋、日本海、オホーツク海、瀬戸内海、東シナ海と、様々な海に恵まれた日本とは違います。結局、大西洋沿岸でたくさん取れる食用に適した魚と言うと、たらなのでしょう。そう言えば、イギリス名物のフィッシュアンドチップスもたらが原料です。イギリス人とポルトガル人は、世界有数のたら好きの国民として知られています。
大航海時代を支えた食糧は、保存食として優れた、このたらの塩漬けの干物だったのだそう。それを思えば、たらがポルトガル人のソウルフードであるのもわかりますね。
うまいとかうまくないとか言うのを超越した、先祖からの血に染み付いた、たら食への愛があるのでしょう。