<第7日目: 8/3(木)> バイヨンヌ ~ サン・セバスティアン ~ サン・ジャン・ピエ・ド・ポール
少しだけ国境を越えて、スペイン側の海バスクの街である
「サン・セバスティアン」(San Sebastien)に立ち寄ります。
その後、また国境を越えてフランス側に戻り、今度は山バスクの街、
「サン・ジャン・ピエ・ド・ポール」(St-Jean-Pied-de-Port)へ。
フランス側とスペイン側、海側と山側、両方のバスクを巡ります。
今朝になって、「今日これからスペインに入る」ということをきいた妻、
テンション、上がってきました。
”翌日のスケジュールを知らない旅” 続行中の妻、
当日サプライズが、楽しいのです。
まあ、スペインに入るといっても、今日は国境を出入りして、
またフランス側の宿泊になりますが、
それでもスペイン語圏に行けるのはうれしい妻。
完全アウェーで意味も分からず、
注文をする気もなくしていたフランス語のメニュー。
やっと勝手知ったるホーム(?)のスペインで、好きな物を頼んで、
好きな物を食べれる!と喜びました。
妻は、今から18年前、アンダルシア地方のセビリアという街で、
6か月間、語学留学をしていたことがあり、その後も複数回に渡って、
仕事でスペインの北部も南部も訪れたことがあります。
とはいえ、その仕事を離れて早15年。
その間、スペイン旅行もしていないし、スペイン語を話す機会もなかったので、
正直、自分のスペイン語がどれほど通じるかの心配はありました。
でも、フランス語に対するアウェー感に疲れていた反動か、
大してしゃべれもしないスペイン語でも、物凄く親しみを感じる自分。
この15年間、スペインに対して、特別な感情を抱いたことはなかったので、
そんな自分の突然の心の変化に驚くばかりでした。
そんな感じで、ワクワクしながら、サン・セバスティアンへ向かいます。
途中のサービスエリアまで、少しの距離だけれど、妻、運転にチャレンジ!
実は、今回の旅の目的のひとつに「妻のドライブ体験」がありました。
ゴールド免許しか知らない妻。
・・・つまり、ペーパー過ぎて、ずっとゴールド。
そんな運転怪しい妻。
高速・・・130km出していいって言われても~、怖いじゃないかー。
周りのスピードに合わせようとすると、こちらの心臓がもちません。
ふと、走行車線をゆっくり走る(たぶん80kmくらいで)小型車発見。
妻はその小型車を「のんびりさん」と名付けて、
以後、その「のんびりさん」の後にぴったりくっついて運転することに決めました。
ほどなくして「のんびりさん」とのお別れもやってきて、
妻の疲れもたまってきたので、ドライブ体験はひとまず終了。
夫に交代しました。
運転している時は、命懸けで、手に汗握りましたが、
とりあえずフランスで運転できたのでよかったです。
またスペインでもちょこっと運転しよう・・・。
予定より少し遅れて、いよいよ国境越えて「サン・セバスティアン」へ。
国境越えの際も、道路脇にスペイン入国のような看板があったくらいで、
特別なことは何もなく、あっさり入国。
そのまま街へ向かいました。
街が見えてきて、青い海も広がっています。
ここサン・セバスティアンは、「ビスケー湾の真珠」と呼ばれる美しい街で、
高級避暑地としても知られています。
フランスから来た私としては、避暑地ってもっと北の寒いところでは・・・?
というイメージがありますが、よく考えたらここはスペイン。
スペインの中では完全北部ですから、猛暑の南部と比べたら確かに避暑地。
街を歩くと、大通りは車が溢れていてとても賑やか。
ヨーロッパらしい趣のある建物が並びます。
橋の上から、釣り糸を下げている地元の人たちもいて、
華やかだけれど同時にのどかな街・・・という気がします。
さて、お腹が空いたので、さっそくバルを探します。
スペインと言ったら、バルへ行かなければ・・・と意気込んで
店を物色しましたが・・・。
よく見ると、どこも小綺麗でお洒落な店ばかり。
カウンター前のウインドウには、ベーカリーのように、
オープンサンドを乗せたお皿が、所せましと並んでいます。
よく見ると、オープンサンドではなくて、
フランスパンのようなパンの1片の上に、
ハムやチーズ、オリーブなどが乗って、爪楊枝がささっています。
これがいわゆる「ピンチョス」。
こんな綺麗なお店じゃなくて、もっと紙ナフキンが床に散らかっていて、
オジサンがカウンター前を占領しているような、
そんな昔ながらのバルで食事がしたかった妻ですが、
しばらく街を歩いても、そんな古き良き、小汚い(?)バルは見つからず。
仕方がないので、綺麗で値段も分かりやすそうな店にあたりをつけて、
入っていきました。
カウンターを見ると、人の波。
お昼時なので混み合っています。
何とか人混みをかき分けて注文しようと、ピンチョスの前に行ってびっくり。
・・・高いです。
ピンチョス1個で、3ユーロ=420円くらい。
こんな小さいパンの1切れでこの値段なのか・・・。
フランスも相当物価が高く感じましたが、
スペインはさすがにもっと安いだろうと思っていました。
でも、ここの物価も十分高いです。
観光地だから? それとも私の頭の中が、15年前の物価基準だから?
気を取り直して、ここはスペイン語だからと張り切って注文!
でも実際は、モゴモゴ、モタモタしている間に、何となく流れで精算完了。
私の予定ではもう少しマシに注文できるはずだったのに、残念!
スペイン語、消化不良のまま、混みあった店を後にしました。
少し街を散策した後、今日の宿泊地、
フランス領「サン・ジャン・ピエ・ド・ポール」へ向かいます。
再び国境を跨いで、フランスへ戻りました。
そして、ほどなくして「サン・ジャン・ピエ・ド・ポール」に到着。
都会のサン・セバステイアンと違って、山バスクのこの街は、
静かで穏やかな山間の集落・・・という感じでした。
この街は、中世には「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」への巡礼路の
フランス側ルート出発点、と言われた街でした。
現在も世界各国から、多くの巡礼者がこの街を通過していきます。
私たちが宿泊するホテルは、巡礼者が行き交う石畳の通り沿いにあります。
この通りには、複数の宿泊地があって、通り過ぎる人々の中には、
リュックを背負って杖をつき、巡礼の象徴であるホタテ貝の飾りをつけた
巡礼者たちもいます。
宿泊したこじんまりとしたホテルも、巡礼者の宿泊を受け入れているようで、
2Fの大部屋には2段ベッドが複数あり、すでに何人もの巡礼者たちが到着して、
荷物をほどいていました。
私たちは、3Fの一部屋。
普通のツインルームです。
屋根裏のかわいい部屋という感じで、手作り感があって
素敵な部屋でした。
早速、街歩き。
石畳の通りには、金のホタテ貝が一定の間隔ごとに埋まっています。
貝の指し示す方向が、巡礼路の進行方向を表しています。
中世の昔から、多くの巡礼者たちがこの通りを歩いて、
何百kmの旅へ向かったのだと思うと、ちょっと感動しました。
自分たちはレンタカーで楽してますけど・・・。
(夫記)
サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路は、同じ巡礼路の世界遺産ということで熊野と提携しているそうで、共通の巡礼手帳なども用意されているようです。
巡礼事務所に立ち寄ったので記念に巡礼手帳を発行して貰おうとしたのですが、私たちの格好がそれっぽくないせいか、交通手段を尋ねられ、正直に「車」と答えると、「徒歩か自転車の人にしかあげられないんだよ。」と断られてしまいました。
通りには、お土産屋さん、巡礼グッズを売る店、巡礼路の事務局もなどがあります。
巡礼に旅立つ人々がくぐった門の前で写真を撮り、
街歩きを楽しんだ後、夕食へ。
夕食には、観光客に有名な雰囲気のあるレストランを選んだのですが、
ここでもメニューを決めるのに苦労しました。
ウェイトレスさんが、フランス語しか通じず。
何とかメイン料理を食べ終わった後、
デザートを食べようと思い、再びメニューをもらおうとして、
「メニュー、シルブプレ」とか言ってみたけど通じず。
困った顔で苦笑いをされました。
後で調べたら、フランス語ではメニューは”定食”のこと。
それで変な顔してたのか。
・・・っていうか食後に定食、食べませんね、そりゃ・・・。
でも、食事は美味しかったし、最後のフランスの夜を満喫できました。
明日はいよいよ、フランスに別れを告げて、
本気でスペイン入国!
今日、あんまりスペイン語を話せなかったから、
明日からは頑張ってリベンジしようと思いました。